松村有輝 『瀕死の彫刻』

0 Love It
保存する

現在は東京を拠点に活動している京都出身の彫刻家、松村有輝の個展。どの作品にも共通しているのは、何かしらの“壊す”プロセスを経て、モノの魅力が引き出されている点だ。ポルノ雑誌に載った裸の女性を等身大に拡大、スチールパネルに貼り一枚の紙を無造作に丸めたように形づくった『瀕死の彫刻(裸婦像)』では、本来あるはずの“エロチックさ”は失われ、ヌードモデルの露出した肌の色だけが強い印象として残り、人間的な温かみさえ感じる。4つの潰されたプラスティック・バケツが並んだ『瀕死の彫刻(バケツ)』は、観る側に“よく見て”と要求しているようだ。これらは変形しているタダのバケツではなく、ある法則性のもと存在しているのだ。作家の創作場面を想像しながら、機能的な役割を失い素材化した物体の顛末を見るのも楽しみ方のひとつだ。