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東北アップデート:釜石とラグビー

ラグビーワールドカップで開催都市として選ばれた釜石

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2011年3月11日に発生した津波と地震の2週間後、石山次郎は食料やガソリンなどの必需品を釜石に届けるため、静岡の自宅から10時間以上車を走らせていた。

石山はそこで見たものに衝撃を受けることとなる。石山がかつてラグビー界のヒーローとなった街は、押し寄せる海によって破壊され、人口の約2.5%にあたる1200人以上もの人たちが死亡、あるいは行方不明になっていたのだ。「以前のように、釜石で生活をしていたら津波と地震の被害を受けていただろうという考えが止まりませんでした。だから私は、釜石の人たちを助ける方法はないだろうか?彼らのために何ができるだろうか?と自問しました」。

2011年5月、石山は同志のラグビーファンとともに、地元ラグビーチームを支援するために「スクラム釜石」というNPOを発足させた。彼らの働きにより、2019年のラグビーワールドカップをブルーカラー地区の漁村で開催させることに成功したのだ。「私が秋田から釜石に来たとき、18歳の無名ラグビープレイヤーでした、国を代表するプレイヤーとなり多くの試合で勝てるようになるまで成長したのも釜石でした。だから恩返しをするときが来たと思ったのです」。

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新日鉄のクラブチームが1978年から1985年の『ジャパンカップ』で前代未聞の7年連続優勝するまで、釜石でラグビーはマイナースポーツだった。ラグビージャーナリストでスクラム釜石理事の永田洋光は、1981年に行われたニュージーランド ポンソンビークラブとの試合でラグビーの人気に火がついたと言う。観客は近隣住宅の屋根に登って観戦していたほどである。

石山を含む釜石のプレイヤー5人は、日本で有名な「1983ナショナルチーム」でプレイし、ウェールズチームを相手に善戦した。しかし、日本経済のバブルがはじけた1988年に新日鉄は溶鉱炉を閉鎖し、2000年にはラグビーチームへの財政的支援も中止された。シーウェイブスは2001年に一般支援を受けて結成されたが、日本のトップリーグ入りすることはなかった。

2011年の津波は、家だけではなく釜石の生活までも奪い去った。2015年までには、2001年に50000人だった人口が36000人まで減少したのだ。2011年の災害から数ヶ月後、スクラム釜石の幹部らが釜石市に書類を提出し、新ラグビースタジアムを建設して、ラグビーワールドカップを釜石で開催するよう提案した。

約600世帯が仮設住宅で生活する釜石にとって、それは難しい提案だった。「釜石市が最優先にしていたのは、ワールドカップではなく街を再建することでした」と永田は言う。「しかしその一方、お金を得るための手段、あるいは影響力が必要でした。私たちは、日本政府が釜石に注目するようになり、ワールドカップを開催することが利益になると伝えました」。

さらに永田は、スタジアムプロジェクトとイベントそのものが雇用機会が生み出し、釜石の将来の労働力を強化すると説明した。「開催都市になることが釜石の最終目標ではないことを強調しました」と永田は言う。

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2015年、釜石が2019年ラグビーワールドカップで日本最小の開催都市として選ばれたことが発表された。16000席を持つ釜石鵜住居復興スタジアムが建設予定である。街の再建を支援するため、スクラム釜石は福島から釜石へのチャリティーサイクリングを毎年実施しており、さらに『ともだちカップ』も毎年開催している。『ともだちカップ』では子どもたちが地元のヒーローや、イングランドのナショナルチームでコーチを務めるエディー・ジョーンズなどの国際的スターからからラグビーの指導を受けることもできる大会だ。

「ラグビーが釜石の少年少女に新しい機会をもたらし、近い将来釜石を魅力的で楽しい街にする助けになることを願っています。これは釜石にとって、復興だけでなく生まれ変わる機会でもあるのです」」と石山は語った。

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テキスト:Nick Narigon
写真提供:スクラム釜石

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今年で東日本大震災から5年が経つことを受け、タイムアウトニューヨークの記者が東北地方を巡り、現在の東北をレポートする記事をタイムアウトニューヨークのウェブサイト、タイムアウト東京の英語サイトで連載している。全4回の連載の第1回目は、『Following the samurai in western Fukushima』と題し、会津若松の名物を紹介。 第1回『武士の歴史を追って 福島県西部』第2回『東北で見つけた海の生き物たちとフラダンス』第3回『宮城で島めぐりと人間観察』

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By Time Out Tokyo Editors

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