レディーガガ

NYCでレディー・ガガに変身する

彼女の奇抜なスタイルを真似するためのニューヨーク ショップガイド

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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今この瞬間、レディー・ガガは来週ラジオ・シティ・ミュージックホールで行われる全公演売り切れのモンスター・ボール・ツアーの千秋楽に向けて、楽屋の鏡にうつる自分を見つめながら猫のようにのどを鳴らして、最終準備に入っているに違いない。もちろん、エリオット・スピッツァー元ニューヨーク州知事のセックステープに登場したような女性とアンデルセン童話『雪の王女』が混ざったような出で立ちで。ステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ(レディー・ガガの本名)の奇抜さを取り入れて、ニューヨーク街中にに愛の光線を放射したいのなら、次の7つのガイドは外せない。

Step 1 ウォーホル的模倣術モードに入ろう

レディー・ガガのアルバム『ザ・フェイム』と『ザ・フェイム:モンスター』をiPod に入れたら、1枚目のアルバムタイトル曲『フェイム』をプレイしよう。この曲は、ポップミュージック界での新たな突然変異を最初に感じさせるエレクトロな曲だった。覚えやすいキャッチーなフレーズは、ハイブローなパフォーミングアートになり観客の心をつかんだ。「シャンパンと終わりのない幸運の楽しみ方は知り尽くしてる。平凡なんて大嫌い」と誘うような甘い声でガガは歌う。ガガ旋風に身を任せるしかない。

Step 2 ドレスアップは必須

お次は去年Googleで最も検索された歌詞だというシングル『ポーカー・フェイス』をプレイして、ガガになるために必要な洋服を仕入れに行こう。

彼女の独特な美的センスをバックアップするクリエイティブ集団、ハウス・オブ・ガガが、もし一般人の予算しかなかったらどこへ買い物に行くのだろう?シームドの網タイツ ($24) をお探しなら、カペジオ・ダンス・シアター・ショップ に向かうはずだ。ホールターの光沢あるラメゴールドのボディスーツ ($30) は、アメリカン・アパレルで手に入る。ヘッドギアは後まわしだ。新しい服に着替え、ローア・イースト・サイドの道から道へ、くねくねと渡り歩きながら、tightsarenotpants.comからマニフェストをプリントして配ろう。彼女が名声をつかむきっかけとなったザ・ロックウッド・ミュージック・ホール (196 Allen St Houstonと Stanton Stsの間) などのクラブも周辺にある。ビキニラインを見てぎょっとする通行人に、作り笑顔を返すのも忘れずに。

Step 3 自分なりのレトロサウンドを探せ

クイーンズ区のロング・アイランド・シティにあるリサイクルショップ、ハウジング・ワークス・スリフト・ショップ (クイーンズ区 48-49 35th St / 48th と49th Avesの間: ) にふらりと立ち寄って、ヒールが一番高いハイヒールと、優雅に終日持ち歩くための趣味の悪いティーカップを買おう。

リフレッシュしたら、スタンウェイ&サンズの無料ピアノ工場ツアー (クイーンズ1 Steinway Pl と 21st Aveの角: 2ヶ月前に電話予約が必要) に参加して、ピアノの製造工程や材料になる木材の保管所を見学。まだ加工前のラフな木材が、カール・ラガーフェルドのデザインによる限定品『ラガーフェルド』や、1900年代に作られた黄金のドヒニー・アートケース・ピアノのようなステージ映えするピアノとして生まれ変わるのだ。工場に展示されているピアノは触ることができないから、豪華なものを見るだけの冒険はこの辺りで一段落させ、実際にピアノが演奏できるスタンウェイ・ホール(109 W 57th St と Sixth Aveの角: )まで足を伸ばしてみよう。ガガのようにスチレットヒールで鍵盤を叩かせてはくれないだろうから、代わりに肘で『バッド・ロマンス』のメロディを弾いて我慢しよう。

Step 4 クレイジーな帽子屋さん

ガガがNJALショップ()でセレクトを担当した時に選んだ、サヴァンナ・ワイアットの『バッド・ロマンス・レース・ハーフ・ハット』は、残念ながら現在売り切れ。だけど心配ご無用。コーラスメロディを口ずさみながら、バーバラ・ファインマン・ミリネリー (66 E 7th St、First と Second Aveの間: ) で、オーナー手作りの人目を惹く帽子を試してみて。ショーン・レノンからイヴまで、彼女の作品のファンは多い。バーガンディ・カクテル・フラワー($175) をかぶってみれば(深めにかぶって目を隠そう。ガガは観客に瞳孔を見られるのを嫌うから)、この店がつくるもうひとりのガガ、ドッペルゲンガーが出来上がりだ。

Step 5 物事の本質を見極める

レディー・ガガの二の腕にはタトゥーが入っている。 オーストリアの詩人、ライナー・マリア・リルケの『Letters to a Young Poet』からの「夜が一番深い時刻に自分に告白しなさい。書くことを禁じられたら死んでしまうと」という一行だ。もしリルケの別の詩をタトゥーで入れたいのなら、バウマン・レア・ブックス (535 Madison Ave、 54th と55th Stsの間: ) で『オルフェウスへの小詩』の初版をめくってみよう。$12,500の価格がついたこの本は、大事に扱わなければならないが、店員の監視さえあれば手に取ることはできる。あなたのプレイボーイ風な口をすぼめて、芸術と人生における詩の役割について沈思熟考してみるといい。長い読書テーブルが置かれた図書館のような内装のこの店には、幅広いジャンルからセレクトされた4000冊ものアンティークや、近年出版された革装丁本がある。ただ、セレブを追いかけ回すカメラマンの扱い方を研究した本は見つからない。残念ながら、あれは生まれ持った才能なのだ。

Step 6 ベイビー、成功は約束されている

ヘッドフォンに『パパラッチ』 が流れたら、財布の残金をたしかめて、入念に予約をしたCeleb 4 a Daybloomsのサービスを受けよう。パパラッチが大声で名前を呼びながら、ガガになりきったあなたとあなたの取巻きを30分間、激写しながら取り囲んでくれる。第二のガガと呼んでもらうのもありかもしれない(おみやげにはあなたの写真が引き延ばされて掲載されている、フェイクゴシップ誌をプレゼントしてくれる)。

サクラで雇われたスタッフやファンのエキストラを振り払いながら、『ビューティフル、ダーティ、リッチ』な夜のお楽しみへ繰り出そう。評論家やDJたちはガガをクイーンやデヴィット・ボウイやグレース・ジョーンズからの派生に位置づけたがるが、我々からすれば彼女はもっとワイルドなヴァイマル的享楽主義者だ。あの時代のスタイルは、イルディコー・ネメトのキャバレー『オー、ゾーズ・ビューティフル・ヴァイマル・ガールズ』 (ラ・ママ実験劇場 74 E 4th St、 BoweryとSecond Aveの間: ) を観て勉強しよう。ベルリン出身のナイトクラブ歌手であり、娼婦であり作家でもあったアニタ・ベルバーのスキャンダラスで中性的な魅力にインスパイヤされた作品だ。彼女はもしかしたら元祖ガガなのかもしれない。1920年代、このスターは、全裸で肩からペットの猿をぶら下げてステージに登場したことがある。

Step 7 そろそろ満腹気味になってきたら

サントス・パーティ・ハウス(96 Lafayette、WalkerとWhite Stsの間 ) で、クレイジーな夜を過ごす前に、髪型の最終チェックを。この場所がガガイズムという冒険の最後の章だ。アマンダ・ブランクとマルーカによるパーティなどが開催されている。高音で“アイ・ライク・ユー・アロット、アロット”とを歌いながらにじり寄り、相手を見つけ、さらに身をまかせる前に華やかでロックなテイストを併せ持ってる人かどうかを確認しよう。酔って『ジャスト・ダンス』をリクエストするころには、自分が誰かを思い出すことすらできなくなっているはず。でもベイビー、大丈夫。その曲がかかれば、心配することは何もない。

原文へ(Time Out New York / Issue 746 : Jan 14–20, 2010 掲載)

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