こたろう
Photo: Keisuke Tanigawa

パブリックキャット 第27回

ジャズ喫茶の看板猫:こたろう(11歳)東京、白山の映画館にて

テキスト:
Shiori Kotaki
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テキスト:Shiori Kotaki、写真:Keisuke Tanigawa

白山駅前にひっそりと佇むジャズ喫茶、映画館。かつて、マスターがドキュメンタリー映画の制作をしていたこともあり、店内にはぎっしりと並べられたレコードに加え、アンティークの映画機材なども飾られている。そんな最高の空間で働く看板猫がいるとの情報を聞きつけ、タイムアウト東京編集部は足を運んだ。ゆっくりと店の扉を開けてみると、そこにはカウンターの椅子にちょこんと座る看板猫のこたろうがいた。

Photo: Keisuke Tanigawa

小顔なこたろうのチャームポイントは長い髭と先が丸みを帯びた尻尾

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同店の天井裏で産声を上げたというこたろう。生まれてからしばらくの間は店の中に入ってくることはなかったが、こたろうを育てた父猫が亡くなった際、愛用していた座布団に遺骨を置いて偲んでいると初めてこたろうが店の中に入ってきて父猫の遺骨にすり寄って行ったのだという。それが1歳ごろの話。そんなこたろうも今や11歳になり、父親の後を継いで立派な看板猫として活躍している。

Photo: Keisuke Tanigawa

店内に鳴り響く上質なジャズに淹れたてのコーヒーの匂い。日々このような空間で生活をしているからか、彼からはどことなくダンディーな雰囲気が漂う

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こたろうは背中を撫でられるのが大好き。人見知りをするため撮影当初は若干警戒されていたが、尻尾の付け根を優しく撫でると我々にも徐々に心を許してくれた。しかし、やはりマスターに撫でられるのが一番のようで、ちょっと撫でられただけでこのリラックスぶり。また、「こたろうくーん」とマスターがカウンターの端からトントンと音を鳴らして呼ぶと、反対側からカウンターの椅子を渡って走って来るという愛らしい姿も見せてくれた。

Photo: Keisuke Tanigawa

マスターに撫でられ、すっかりリラックス状態

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Photo: Keisuke Tanigawa

端にいるマスターに向かってカウンターの椅子を軽快に渡るこたろう

しかし、時々人間に対して意地悪をすることもあるのだという。意図してやったのか、アクシデントであったのかはいまだ謎に包まれているが、集めていたグラスの多くをこたろうが割ってしまったなんてこともあったそうだ。しかし、甘えてきたり椅子に乗り損ねてなんでもないような顔をする彼を見ているときっとそんなことも許してしまうのであろう。
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Photo: Keisuke Tanigawa

また、年に一度の楽しみは自身の誕生日。普段はあまり味付けのされていないキャットフードを食べているが、この日は特別に好物の刺身が食べられるからだ。普段は健康を気遣ってもらいつつ、こういった年に一度の楽しみも貰えるこたろうは愛され者である。
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Photo: Keisuke Tanigawa

ジャズ喫茶で働いているこたろうに好きな曲はあるのか聞いてみると、特にそういったものはないそうだ。しかし、音楽が激しいときは大きく尻尾を振ったり、スローな音楽のときはゆっくり振ったりと、撫でられたときに振る尻尾が心なしか流れている音楽に合っているように感じられる。看板猫として約10年、ジャズ喫茶での仕事がすっかり板についてきたということだろう。そんなこたろうが働く映画館は、最高のジャズが流れる居心地の良い空間。今日もグッドミュージックに包まれながら仕事に励んでいることと思うので、最高の音楽と彼の癒しがほしいという人は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。

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Photo: Keisuke Tanigawa

名前:こたろう(♂)
勤務先:ジャズ喫茶 映画館
看板猫になるまでの経緯:同店の屋根裏に生まれる。かつて看板猫として活躍していた父猫の死をきっかけに、彼もここで看板猫として働くように。11歳というなかなかの高齢ながら、まだまだ現役の看板猫。

—ある1日のスケジュール—
15時 店のオープンと同時に出勤
23時30分 店が閉まるのと同時に退社
(日曜・祝日は休み)

ジャズ喫茶 映画館
  • 音楽
  • 白山

白山駅前にあるジャズ喫茶。マスターがドキュメンタリー映画の監督であったこともあり店内にはアンティークのカメラなどこだわりの品々が飾られている。真空管アンプをはじめ店内のオーディオはすべてマスターの自作。上質なジャズに耳を傾けながら飲むコーヒーはまた格別だ。

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