Get in touch!

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タイムアウトレビュー

赤坂にある日本財団ビルで、イベント『Get in touch!』が12月1日(木)~3日(土)まで開催される。日米自閉症スペクトラム研究会議が開かれるのと同時に、被災した人もしていない人も、障害のある人もない人も、みんなでまぜこぜになって集まり、楽しみ、交流することを主旨とする。アウトサイダーアーティストの佐々木卓也による実演や、サルサガムテープをはじめ、バリアフリーで演奏活動を行う音楽家たちを迎えた音楽会、オノ・ヨーコをゲストに迎えたトークショーなどが行われる。

佐々木卓也「無題」


このイベントの企画・運営の中心となっているのは、女優の東ちづる、編集ライターでNPO法人東京都自閉症協会副理事長の尾崎ミオ、中京大学現代社会学部教授であり、日本発達障害ネットワーク副理事長の辻井正次など。東と尾崎のふたりは、26年来の親友という関係だが、ここ数年は音信不通になっており、つい2カ月前の9月に再会した。ふたりは、偶然にも、東日本大震災に関する同じ新聞記事を読み、被災地の障害者の人たちの支援活動をそれぞれに始めようとしていた。記事は、被災した地の避難所で、自閉症の子どもが大きな声を出してしまい、近くにいたおじさんが「うるさい!静かにさせろ!」と怒鳴り、怒鳴られた子どもの母親が、子どもを毛布でくるみ押さえつけて、「ごめんなさい。すいません。申し訳ありません」とあやまったというものだ。

イベントについて、3人に話を聞いた。

尾崎:私は、ちづるちゃんと会っていなかった間に、NPO法人東京都自閉症協会でボランティアをはじめました。自閉症って、コミュニケーションができない人とか、閉じこもっている人とか、なんとなく曖昧なイメージが先行してしまって、本当の自閉症の人たちや、アスペルガーの人たちのことが、案外知られていない。その人たちは、普段は普通に生活していますが、震災などで社会が不安定になると、人々はふだんより排他的になってしまいます。不安定になればなるほど、そういう人たちが生きにくくなってしまうんです。世の中がもう少し寛容であれば、“隣にいるちょっと変なお兄ちゃん”で済むのに、なかなか受け入れられなくなってしまう。

東:震災以降、“つながる”とか、“よりそう”とかいう言葉が良く使われるようになったけど、そういう言葉を使うことで、絆が深くなった気でいるのが、私は気持ち悪い。義援金を与えるだけでつながった気になっているけど、瓦礫をどうするかという時に、どこも受け入れる場所がなくて、他人事になっているのが現実です。“つながる”とか、“絆”って、本当は、すごくわずらわしいし、覚悟がいること。これから大事なのは、どう分け合うかなんですよ。いつ、どっちがどっち側になるかはいつも背中合わせなんですよね。

尾崎:今までと違った啓発イベントをやりたいと思っていたのと、ちづるちゃんと再会した時期がものすごいいいタイミングでした。どうしても、東京都自閉症協会だったり、日本発達障害ネットワークだったりで活動していると、普段はその関係者でイベントをやってしまいます。そうすると、本当に自閉症に興味のある人しか来ないんですよね。いつも、すごく狭い世界で、井の中の蛙だなという気がしていました。

東:私も、いろんな活動をする中で、ずっとそれがジレンマだったんですよ。私が意見を言うと、それは外部の意見だから…と言われることもあって。凝り固まっているところがあるんですよね。

辻井:凝り固まらなきゃいけなかったのは、社会の認識不足があるんですよ。100人の自閉症の人がいると、100通りなんですよ。ひとくくりにして、何もできない人っていうイメージを持っている人が、日本にはまだまだ多い。

尾崎:なぜ、自閉症を知っている人が凝り固まっちゃうかというと、付き合いがない人にはわからない。説明できないことが多いし、すごく誤解されやすいんです。わかっているもの同士でいると楽というのはありますよね。私は自閉症の人は本当に面白い、アスペルガーってかっこいいって思っています。すごく、独特な感性を持っている人が多いんですよ。イベントに来てくれた人たちが、こんな絵を描く人たちって、どういう人たちだろう?とか、なんか、いつも聞いているものと違うよねって思ってもらうことで、近づけるかな、って思います。

辻井:診断がついているにしろ、しないにしろ、色んな人がいるというのが、そもそもの前提です。アスペルガーって、変わった人の代表だから、そういう人たちにとって、居心地の良い社会は、皆にとって居心地の良い社会だと思います。みんなが表現できる社会にしていくために、色んな人がつながっていくのは大事だと思うんですよね。


詳細

イベントのウェブサイト
getintouch.earth.linkclub.com
住所
問い合わせ
052 505 5000
営業時間
Dec 1-3 2011 12時00分~20時00分
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