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日本で式を挙げた米レズビアン家族

日本国内で、LGBTフレンドリーな結婚式場が急増中

テキスト:カイザー雪

日本では同性婚は法的にはまだ認められていないが、京都の春光院や東京ディズニーシーをはじめ、同性ウェディングを支持する式場が数年前より急増している。昨年、渋谷区や世田谷区などが同性カップルへの証明書の発行を実施したこともあり、徐々にオープンになってきているように感じる。そのため、同性カップルの結婚式を意識したビジネスも現れ始めている。なかでも、LGBTカップルに特化したEqual Wedding Japanや、LGBT専用のページを開設している沖縄のKafuu Resortなどが特に国内外で注目されつつある。

神聖なる神殿にて、和式でセレモニーを行ったサンフランシスコのレズビアン家族

タイムアウト東京では、2016年8月に国内で結婚式を挙げたアメリカ人のレズビアンカップル、ミシェルとマリアにインタビューを行った。マリアは、日本人の母を持つアメリカ人の実業家兼格闘家だ。音楽ヴェニュー&バーThee Parksideなどを経営している。その妻のミシェルは、著名人も顧客に持つヒップなヘアサロンを経営する人気のヘアスタイリスト。2人は2011年にアメリカで結婚式を挙げ、その1年半後、愛娘リヴァーを授かった。マリアは若いころに日本を訪れたことがあり、日本人の祖父の影響から阪神タイガーズのグッズを集めるなど、幼少期から日本に特別な思いを抱いてきた。かねてから2人で日本に行くことが夢であり、結婚5周年となる2016年にそれが実現した。前述のEqual Wedding Japanを通して、ハイアットリージェンシー大阪の神聖なる神殿にて、和式でセレモニーを行うことにした。

“Public東京で撮影したウエディングフォト

娘も挙式に出席、一生の思い出

「5年前の結婚式は洋風でしたので、今回はマリアのゆかりのある日本で和式のセレモニーを行いたかったのです」と、ミシェルは話す。「着物も本当に美しくて、式の細部まで凝っていてすべてに意味があるように感じて、アメリカでは絶対に経験できないような式典でした。さらに今回は、娘のリヴァーも参加できたことが何より特別で、私たち家族にとって一生の思い出です。リヴァーは、自分も日本で結婚したのだと思い込んでいて、まわりに言いふらしています!彼女のお祖母ちゃんが日本人で、さらに日本はキティちゃんが産まれた国だという認識ですので(笑)、終始感激していました」。

 

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サンフランシスコの学校で、「多様な家族の日」が開催されている

ミシェル一家在住の、世界一LGBTフレンドリーな街と言われるサンフランシスコでの子育てについて聞いてみた。「本当に恵まれている。私たちのまわりにも、たくさんのLGBT家族が存在していて。リヴァーは一般の学校に通っていますが、彼女のクラスだけでも同様の家族が4組います。学校の行事として、『多様な家族の日』も毎年開催されています。サンフランシスコでは、LGBT家族はもう当たり前です」。

まさにLGBTにとって理想的な地域、社会のように思えるサンフランシスコでも、マイノリティな家族として直面する問題はあると言う。「日常的には基本的にスムーズに行きますが、2度だけ、道ばたで嫌味を言われたことはあります。それはそこまで気にしないのですが、そういったできごとや、ちょっとした他人の発言に対して、今後どういった対応をとるかは、マリアとじっくり話し合いました。たとえばリヴァーの前で、ドナーについて話すのか、話さないのか。他人に良くされる質問が、『リヴァーはお父さん似、お母さん似?』。結論として、『リヴァーはお母さんが二人いるんですよ!』と答えることに決めました。だからリヴァーも理解しています」。

友人に精子をもらい、そのまま自宅で 

ミシェル一家は、学校以外でも、同様の境遇にいるレズビアンマザー8組と毎月食事会に参加していると言う。子どもたちは2歳から9歳、授かり方は様々だ。「サンフランシスコでは、ドナーの精子を利用することが多いです。匿名、特定のドナーの割合は半々ぐらいですかね。私たちに関しては、リヴァーがマリアと同じ人種であるためにも、日本の血を持つ友人のドナーに精子をお願いしました。後々のこじれを避けるためにも、匿名のドナーを希望する人がたくさんいますが、私たちはあえて友人にしました。無料ですしね!新鮮な精子さえあれば、病院に行かなくても妊娠できます。私が排卵する時期をあらかじめチェックして、同友人に精子を注射器に入れてもらい、体温を保つため脇に挟みながら家に毎回飛んできてもらいました(笑)。約20分以内に注入をすれば大丈夫だそうです。それで私はベッドの上でスタンバイして、マリアにすぐに注射器で精子を注入してもらうといった方法。3~4ヶ月間繰り返したら妊娠しました。DIYで安いし、病院に行けない方にもおすすめです」。

10周年のセレモニーもまた日本で

今回の初滞在で大の親日家になったミシェルは、日本をこう振り返る。「ウェディングが一番の思い出ですが、毎日が最高でした。すべて美しくて、大都会とは思えないほど整然としていて、かつ平穏で、日本人の親切さやマナー、エッジの効いたスタイルにも感銘を受けました。結婚10周年をまた日本で行いたいですね!また、これまで私たち3人で何度も旅行をしていますが、機内や入国管理局では、いつも私のみがリヴァーの母親と見なされてマリアは他人扱いでした。でも今回成田の入国管理官から、人生で初めて私たち3人に対して『家族ですね』と言われました。実際にその方がどういった意味や理由で発言したのかは分かりませんが、とても嬉しかったです」。外国からの観光客が年々増加するなか、今後も外国人の同性結婚式が日本でも増えるであろう。法制化を願いつつ、今後もタイムアウト東京では同性婚について注目していきたい。  

“Public東京で撮影したウエディングフォト

テキスト/カイザー雪(Yuki Keiser)
ジュネーブ国立大学文学部卒業後、東京大学大学院に2年間留学。2006年に日本初レズビアンWEBマガジン『Tokyo Wrestling』を立ち上げ、2011年に日本初BOI本『Tokyo BOIS!』を執筆。現在はサンフランシスコ、東京、ヨーロッパの間を行き来し、日本語のランゲージコーチ・カルチャーコンサルタント、通訳、ライター、旅行代理店のアドバイザーなどとして活躍中。
www.yukikeiser.com

インタビュー:カイザー雪

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父が2人 日本とスウェーデンのLGBT家族

日本人でゲイ男性のみっつん。35歳の彼は、40歳のスウェーデン人のリカと2008年に東京で出会い、3年間の交際を経てスウェーデンで結婚をした。そしてロンドンを生活の拠点にして、2人は子どもを持つことにした。現在その準備に励んでいる。

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