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The Hot Seat:前田健インタビュー

2011年2月5日に、『きょうだいでわかる!LOVE&キャラ診断』(主婦の友社)を出版した前田健が語る。

イラストレーション:Haruna Nitadori

人間観察をネタにした一人コントや、英語を駆使したスタンダップコメディ、ものまね、さらには小説の執筆や、俳優など、さまざまなエンターテインメントを極める前田健。自身がゲイだからこそ、自分が納得するまで、物事を360度から見る癖があると話す。2011年2月5日には、そんな人間観察力を凝縮した本『きょうだいでわかる!LOVE&キャラ診断』(主婦の友社)が出版された。

『きょうだいでわかる!LOVE&キャラ診断』は、前田さんご自身でリサーチしてお書きになったんですか?

前田:もともと、兄弟のポジションを聞いて、その人の人となりを聞くのが癖で、良く聞いていたんですけど、まとめて本にする話が出てから、300人くらい一気に聞きました。兄弟の“あるある”みたいなものが重なって出てきた結果をもとに、まずは僕が定説を作って、それをベースに別の人に話を聞くと、「当たってます!」ということが多くて。それで、定説をどんどん固めていきました。

12星座や、4種類の血液型で分けるのって、生活や環境のバックグラウンドが含まれていないと常々思っていて、「A型なのに机が汚い」なんて言われると、ものすごく人格を否定された気分になっていたんですよ。

前田:星座と血液型よりは、まだ兄弟構成で考える方が、信憑性があるかな、と思って。人間が一番最初に触れる社会って、家庭だから。その中でどう育ったかを聞くとわかりやすいと思ったんですよね。僕は兄と弟がいて、人から良く、「お兄さんいる?」とか「弟いる?」って聞かれるから、そういう雰囲気って、人が無意識に持ち歩いているものなんだと思うんですよ。

この本を読んで、話のきっかけを天気の話で始めるより、兄弟の話で入った方が話も広がりやすいし、相手のスタンスがわかっていいな、と思いました。人とのコミュニケーションのハウツーみないな面もあるなって。

前田:小説はフィクションだけど、「きょうだいでわかる!LOVE&キャラ診断」は、遊びの啓蒙というか、こういう物の見方をしてみたらおもしろいよ、というプレゼンテーションのひとつなんです。楽しくトークする時のお題にしてもらえれば良いな、と思っていますね。

僕、人への興味が尽きなくて。それは、真ん中の特徴で、親の愛情を一身に受けてぬくぬくした経験が兄弟の中で一番短いから、寂しがりやで、用もなく学校にうろうろ残っていたのは、僕ですね。あと、飲み会で、1次会、2次会、3次会ってだんだん人数が減っていっても、最後までいるのも僕ですね。もっとおもしろいことがあるかな、って思っちゃうんですよ。でね、ひとつのものをいろんな角度から見たいんですよ。僕はゲイで、世の中のものは、“そういう風になっているから、そういう風に思いなさい”、っていうのじゃなくて、全部一周して、納得しないとダメだったから。ステレオタイプがなくて、自分なりに咀嚼しないといけなかったんですよ。人への興味がつきないから、役者になったのか、役者になったから人への興味が尽きないのかわかりませんけどね。

前田さんはアメリカにいらした経験がありますけど、海外でもこの本は適用できますか?

前田:この本はとても日本的だと思います。日本では親が育てる中で、男たるもの、女たる物っていう概念が入りますが、海外ではそれがそこまで強くないので、もう少し友達のような兄弟として育っていると思うんですよね。アメリカって、ヨーロッパの王様がいる国から、階級制度を嫌って、フェアであろうとする世界を築こうとした国だから、“個人”として扱うんですよね。

コメディアンとか、芸人さんの目で見ると、日本とアメリカの差はどんなところにありますか?

前田:日本ほど、ツボの数というか、引き出しが多い国ってないと思います。アメリカ人が笑うことって、ナンセンスとドタバタと、暴力と皮肉。意外と豪快、もしくはブラックなものが多いですが、日本は“裏笑い”というか、拙すぎて笑うとか、滑り笑いとか、本当に色んな種類の笑いがある。アメリカでハーバード大学に行っていたパックンマックンのパトリックが、日本のお笑いはすごい、って言って芸人をやっているくらいですから。すごい細分化されているものらしいですよ。僕はアメリカ的な笑いも好きですが、それも含みつつ、もっと引き出しがある日本のお笑いはおもしろいと思います。

だけど、アメリカは国土が広いので、日本では味わえないスケールの大きさを感じられます。スケールって、“緻密さ”ではないけれど、“可能性”なんですよね。日本は、狭いところに平均して頭の良い人が住んでいるけど、アメリカは、広いところに、たまに天才が出るというすごさがありますよね。それがおもしろいです。バカにしながらも、アメリカはやや好きです(笑)。なんか、どうせ生きているんだから楽しもうよ、という感じも好きで す。ジェットコースターに乗りながら「ホッホー!」っていうのも良いですよね。日本人ははしゃぐのがへたくそですからね。素直にリスペクトしたり、賞賛したりするのも下手ですよね。アメリカ人は、良い映画を観たと思ったら、エンドロールでスクリーンに向かって拍手するんです。それは、素敵だと思いますね。

だから僕もニューヨークに4年住んでいて、いま日本でお笑いとか俳優とかやっていますけど、これじゃなければいけない、っていうのがないまま生きているので、楽ですね。違う価値観をいつも持ちながらやっていて、芸能界で長生きしなきゃいけないとも思ってないから。必要とされる場所があって、輝ける場所があればどこでも良いと思っているし。

お仕事の選び方も、そういう選び方をするんですか?

前田:僕にしかできないことを優先して、仕事をしたいと思っていますね。他の人でもできるでしょ、ということはあまりしたくないので……。

“あやや”はもうやらないんですか?

前田:そんなことないですよ。でも、7年くらいやりましたからね。見た人は、一部しか見てないから、そんなに長くないと思うかもしれないけど、やっている本人は、やり初めてから、やらなくなった年齢まで、8年くらいありましたから。でも、喜んでもらえればなんでもやっていきたいと思いますけどね。

ところで、洋服にたくさん毛がついているのは、犬ですか?

前田:そうです。白いフレンチブルドッグで、毛がすごく抜けるんですよ。2年くらい飼っているのかな。『いぬばか』という映画がきっかけで飼い始めた犬なんですけど、その映画にはいろんな犬が出てきて、僕の役は、赤ちゃん犬を飼っていて。撮影中に、「この子の飼い主どうするんですか?」って聞いたら、「撮影が全部終わったら飼い主探します」、って言うから、「いいな、いいな」って言っていたら、「何かの縁なんで、前田さんもし良かったら飼ってください」って言われて(笑)。

良い話のような、押しつけのような……それが一番丸く収まる的な話ですね(笑)。

前田:そうそうそう。「もう、前田さんになついちゃってますもんね」みたいなスタッフの助言もあって、断れなくて。僕は子どもの頃も犬を飼っていましたけど、その時は両親が主に世話をしていて、僕はちょっとかわいがる程度で、実質は両親の犬だったんですよね。今回の犬は、僕に責任があって、自分なしでは生きていけないと思うから、本当にかわいいですね。母性的なものも、犬を飼うことによって感じますね。あと、誰も俺なんて必要としてくれないよ、って思う時に、まぁでも、ジダンは必要としてくれてるか、って思い出せるようなね。

母性といえば、タイムアウト東京で、同性カップルたちが子供を迎え、新たな家族を作る姿をとらえた写真展『All We Need Is Love』のトークショーをやって、前田さんにゲストで来ていただいた時、お子さんが欲しいっておっしゃってましたものね。

前田:だってもう40ですもん、今年。日本では、40歳になると、0歳の子どもはアディプトできないんですよ。子どもと親の年が40歳以上離れるとダメなんです。だから、僕が1歳の子どもを預かることはできますよ。しかも女性が相手で、その女性が2年以上子どもに関わる仕事に従事したことがある人じゃないとダメなんですよ。

すごい制限があるんですね。

前田:制約がありますね。いくらお金持ちでも、同性同士はダメですね、日本ではまだ。だけど、お母さんって、いつでもちゃんと子どもにとっての“最良”を選べるのがすごいですよね。やっぱり子どもを育てると、その年その年の、“私を育ててくれていた時の母親の気持ちを追いかけることになるし、子どもが感じる初めてを客観的にもう一度体験するような気持ちになるから、2倍にも3倍にも人生が豊かになると思います。

そうですね。あの、ジダンのお散歩で良く行く場所とか、前田さんが東京で好きな場所、良く行かれる場所はどこですか?

前田:僕は、ひとつのアイテム専門で出しているお店が好きなんですよ。例えば、本屋さんとか、帽子屋さんとか、CD屋さんとか。本屋さんは、作家さんの才能が、同じ場所に集まって勝負している感じが好きで、新宿の紀伊国屋書店とか行くと、あがったり、さがったり、けっこう長居しますね。だいたい、移動中に読むのと、家にいる時に読むのと、2冊くらい買います。ジャンルは、自分が小説を書いてから、やはり小説を読むことが多いですね。特に、語調とか、比喩表現とかを勉強させていただきたいと思う、伊坂幸太郎さんの本が多いですね。僕と同い年の若い作家さんですけど、映像が浮かぶような文章を書く方で、すごくリスペクトしています。

次の作品の予定はあるんですか?

前田:予定はないです。でも、構想と、勝手に自分が書き始めているプロットはあります。

ずっとお話を聞いていると、本当にたくさんの種類の仕事にたずさわっていらっしゃいますが、仕事の切り替えとかはどうやっていらっしゃるんですか?

前田:いろんな仕事をやっていて、バラエティの仕事が忙しい時に、いきなり映画が入ったりして、まったく時間の流れ方が違う時に、とっても切り替えが難しかったんです。でも、それぞれの仕事の時に必要なモードを、ちょっとずつ覚えておくようにしているんです。バラエティの時はすぐ反射できるようにずっと腰を浮かせているような感じで、役者の仕事の時は待つのも仕事と思うようにしたり、雑誌の取材の時はコミュニケーションをとるために脳を使うとか。

特に僕はうちの事務所の中でも、やってこなかった分野がほとんどないタレントらしくて。歌でCDも出したことあるし、声優をしたこともあるし、本当に色んなことをやらせてもらったので、これからは何にでも対応できるはず。何事にも初めてはあるけど、次に同じことをやる時に、ゼロからじゃ嫌で、即戦力になりたいんです。だから、どうせ同じ時間を使うなら、自分の肥やしにした方が良いですし、何でも、精一杯やりたいと思います。もう、どこからでもかかって来なさい、っていうタレントになりたいですね(笑)。

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