インタビュー:安倍昭恵

震災から5年、内閣総理大臣夫人が考える次の復興とは

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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インタビュー:東谷彰子
テキスト:泉友果子

もうすぐ東日本大震災から丸5年が経つ。あまりに突然起きたあの大地震に日本中の人々が衝撃を受けた。現在の福島、そして東北の状況はまだ地震前と同じではない。「3月11日の前には報道されるけど、5年も経つと人々は日々の生活のなかでは忘れてしまう」と話すのは、今も東北を訪れ日々復興と向き合っている、内閣総理大臣夫人の安倍昭恵だ。「今はもう、被災直後の瓦礫撤去などのボランティアという段階とは違う。何かしてあげるというよりは、一緒に何ができるかを考えていきたい」。

そこで、2015年2月に山形県の蔵王温泉で開催したのが『私をスキーに連れてかなくても行くわよ』というスキーイベント。日本がバブル期にあった1980年代に公開された映画、『私をスキーに連れてって』を文字ったイベントだ。1980年代の日本はスキーブームがピークで、週末になると雪山には大勢の人が訪れていた。安倍も小学生のころから家族と雪山に出かけ、高校卒業後にはスキー場でアルバイトをしながら滑っていたりと、スキーには思い入れがあるという。

 

2016年3月4日(金)からは、同イベントの第2回を開催する。3日間にわたり開催され、豪華なコーチ陣によるスキーレッスンなどスキー自体はもちろん、スキーをしない人も蔵王の樹氷巡りや地元の陶芸体験が楽しめる。「スキーもやりたかったけどアフタースキーがやりたくて」と前回に引き続き、80年代を意識した夜のディスコもあるという。また、巨大なかまくらのなかで東北の地酒を飲めるかまくらバーに加え、日本イタリア料理協会会長で、ラ・ベットラ・ダ・オチアイの落合務シェフ、フランスの一つ星レストランSOLAの吉武広樹シェフが腕をふるう、豪華な前夜祭も。 

名前こそコミカルなものの、イベントにはもちろん、東北に対する安倍の思いが込められている。「スキー場で働くと夏はそこで農業をしたりして働けるんだけど、その選択肢がないと閑散期のときに外(東北外)に行かなくてはいけない。山形県の蔵王温泉自体は被災していないけれど、風評被害もあり観光面で影響が残っている。スキー場が賑わいを取り戻すことで、スキー場だけでなく全体が潤ってくるのではないか」と話す。イベントのスタッフには蔵王温泉の地元の人々も名を連ね、一緒に準備し運営している。

東北外の人は、自分たちが東北のために何ができるのかと考えてしまいがちだが、「行けるなら行く。行って何をするわけでもなく人と会ったりでいい」と安倍は言う。安倍はまた、東北の良さを客観的に見て発信できるのは、外国人を含めて東北以外の人かもしれないとも指摘した。被災地だと構えなくても、東北の良さを見つけにいくような気持ちで、このイベントのようにスキーや温泉を楽しみに東北を訪れてみることも、今後の東北へとつながるかもしれない。

『私をスキーに連れてかなくても行くわよ』の詳細はこちら

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