TOKYO MUSIC BOX #26 Hey Jude

テキスト:
Kunihiro Miki
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in collaboration with KKBOX 

Hey Jude

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ポイント:ビートルズのゴールドディスクのレプリカと、絶品の魚介料理

定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフがセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。

今回は、2016年4月にオープンしたピアノ弾き語りバーHey Judeを紹介。ビートルズはもちろん、ビリージョエル、カーペンターズ、サイモン&ガーファンクルにクイーン、マイケル・ジャクソン、エアロスミス
など、1950年代から90年代までの洋楽ヒットソングを生の弾き語りでリクエストできる、ロック親父殺しな一軒だ。

同店の店主は、島根県益田市で長年弾き語りバーを経営してきたPaul Machida。娘が高校生になるタイミングを見計らい、長年の夢であった東京進出を果たした。五十路を過ぎての思い切ったチャレンジだが、益田市出身者たちの力強いネットワークの助けもあり、宮益坂上の路地裏に構えた店は連日賑わいを見せている。

実家が経営する和食店での修行と、中学生時代から精を出していたバンド活動、それら2つの軸がこのユニークな業態を生み出した。中学まで音楽とは無縁の彼に楽器を手に取らせたのは、ほかでもないビートルズだった。

「当時、カーペンターズをはじめとする洋楽を聴いていたのですが、カーペンターズの曲にビートルズのカバーがあったんですね。『涙の乗車券』という曲。その時はまだビートルズという単語すら知らなかったのですが、クレジットを見ると『涙の乗車券』の作詞作曲はカーペンターズではなく、レノン=マッカートニーとある。そして、原曲であるビートルズ版を聴いたら、こっちのほうが良い、すごく良いと。それが出会いでした」。

そこから、ビートルズ一筋の人生がスタートする。社会人になって組んだビートルズのコピーバンドは、数年の活動を経たのち、メンバーの結婚などを契機に一時解散。しかし、7年前にイベントへの出演を頼まれ、スリーピースで再びビートルズバンドを組んだところ、メンバーと息がぴったりと合った。この時結成されたビートルズトリビュートバンドNOW HEREは、その後、地元のイベントなどで実績を積んだのちに、2011年と2014年の2回、イギリスのリヴァプールで開催されるビートルズの祭典『International Beatle Week』に出場。10ヶ所15ステージでライブを行なった。その際、イベント会場であったキャヴァーン・クラブのほかに、偶然、もうひとつのビートルズの聖地でも演奏することとなった。

「観光目的で『ペニー・レイン』を訪れたところ、曲中で歌われている床屋の庭で、たまたま店の庭で地元のバンドがイベントをやっていたんですね。僕らは『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のジャケットでメンバーが着ている衣装を真似して着ていたもので、バンドマンたちに声をかけられたんです。それで、なにか演奏してみろってことで楽器を借りてやってみたら、お前ら上手いな!と。それで続けて数曲演奏しました。この床屋でライブをした日本のバンドは、僕らだけだと思いますよ」。

プロのビートルズプレイヤーとして申し分ないキャリアである。それゆえに、店のリクエストリストも、ビートルズとポール・マッカートニーの楽曲は特に充実している。やってくる客たちも筋金入りのビートルズファンばかりなのだろうか。

「店名こそビートルズですが、ビートルズファンが集う店という雰囲気ではないですね。リクエストされる曲も、ビートルズ以外のほうが多いかもしれない。皆さん、ビートルズがきっかけでお店に来ても、リクエストリストを見るとそれ以外のアーティストをリクエストしたくなってしまうようです。私は昔にバンドでTOTOやJourneyの曲もやっていたこともあったので、そのへんもレパートリーにあります」。

プレイリストには、USA For Africaの『ウィ・アー・ザ・ワールド』も。同曲は、1985年当時、深刻化していたアフリカの飢餓救済のためのチャリティーソングとしてのリリースされ、世界中で大ヒットとなった。熱気溢れるアメリカのミュージシャンたちの動きにMachidaは大いに感銘を受けたという。「日本でもこういう働きかけがあったらいいのにと、今でも思いますね。当時のスーパースターたちが集まる様子には感動しました」。

これらのほかにも、レパートリーは300曲以上が用意されており、いずれも時代を象徴する名曲ばかり。音楽仲間と来るも良し、親子で来るも良し、または一人で訪れても楽しめること受け合いだ。DJバーやジャズ喫茶とはまた違った音楽の楽しみ方を発見できることだろう。

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