TOKYO MUSIC BOX #24 gatosano

テキスト:
Kunihiro Miki
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in collaboration with KKBOX 

gatosano

値段:¥¥

音量:

照度:

ポイント:健康とアート

この一杯:44種類の薬酒、薬膳酒。カツアバパウダー

定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主やスタッフがセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。

今回は、中年に差しかかって夜遊びは体力的に辛い、という人には特におすすめしたい一軒、2015年11月にオープンした原宿のバーgatosanoを紹介しよう。クラブに行く前に挟む店としてちょうどいい、と言うとよくあるDJバーのようだが、この店に夜な夜な訪れる人々が求めるもの、それは40種類以上を揃えた同店自家製の薬酒である。まずは、エナジードリンクよりも効果的かつ健康的であるという薬酒の魅力を店主たちに語ってもらった。

 

店主の高田は、近年は『ZIPANG』などの音楽イベントを企画しているイベンターでもあり、メインバーテンダーのeReeをはじめ、同店で働くほかのスタッフたちもDJやイベントオーガナイザーとしての顔を持つ。いつまでも音楽を聴いて元気に踊っていたい、というシンプルな音楽愛が薬酒に行き着いた動機だという。

「まず(体の状態を)プラスマイナスしたい、お酒を飲んで元気になりたいということで薬酒に注目しました。例えば日本酒を沢山飲んだときって記憶が飛んだり翌朝が辛かったりと結構ダメージがあると思うんですが、薬酒を事前に飲んだり挟んだりすると、気持ちの良い状態が一定に続いて後に残らないんですよ。うちは元気系が得意ですが、安眠系ももちろんありますよ。うちを聞きつけて来る人たちはやっぱり、激しめの仕事をしている疲れてる人たちですね」と高田は話す。

というわけで、その元気系の薬酒をいくつか試飲。すべて焼酎ベースのもので、臭みのあるものはジンジャエールで割られてるため飲みにくさはない。一番強力な一杯を尋ねると、棚からでてきたのがこちら。タツノオトシゴを焼酎に漬けたものだ。

高田いわく「動物性は効き目が違う」とのこと


同店のスタッフで、今回のプレイリストの選曲にも参加してくれた石田は、薬酒の効果に目覚めてからというもの、薬膳の研究をはじめたほどのハマりようだという。現在店にある44種類の薬酒から、自分に合ったものに出会うことが大きな効果を実感できる秘訣だという。

そんな薬酒による「健康」とともに、同店のもうひとつテーマとなっているのが「アート」である。店内には日本人作家のアート作品の販売展示が定期的に行われており、新しい日本らしさを発信する場としていきたいという。

アート発信の一環としてDJを招いたイベントも頻繁に開催しており、店内奥のDJブースではこれまでに、大物から若手まで色々なジャンルのDJがプレイしてきた。今回、高田と石田に作成してもらったプレイリストは、クラブミュージックからロック、ワールドミュージックまで、同店の自由でジャンルレスなカラーが反映された幅のある選曲となった。

10曲で構成されたプレイリストのテーマは「酒と旅」。幕開けと締めの1曲はクァンティックの『Mi Swing Es Tropical』がバージョン違いで入っているが、これには旅好きの高田ならではのロマンティックな理由が。「同じ曲が違うものに聴こえるってうのはまさに旅みたいじゃないかと。例えば東南アジアを旅して帰ってきたら、なんだかそれまで悩んでいたことがなんだったんだろうと思えたりすることがあるんですよ。そんな感じと似てますよね」。

高田が選んだもう1曲はジミ・ヘンドリックスの『パープル・ヘイズ』。「この10曲の並びでジミヘンが入ってくるのがうちっぽいのかな。酒飲んだときに聴きたくなるのはやっぱジミヘンですよ」。



OwinyからShackletonへのトライバルな流れからDonato Dozzy & Nuel、Ricardo Villalobosに至るフロアコンシャスな並びも、まるで辺境地帯からヨーロッパへ旅をしているかのようなトリップ感を感じさせ、店主高田の旅好きな趣向が現れている。

店主催のイベントでは、オールジャンルなときもあれば、テクノ縛りの日もあったりと、スタッフが気に入ったDJをジャンルを問わずピックアップしているという。最近夜遊びから遠ざかってしまったという人は、リハビリがてらに同店を訪ねてみれば、新しい扉が開けるかもしれない。

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