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インタビュー:オロフ・ファン・ウィンデン

最先端のフェスティバル「TodaysArt」が見出す都市の軋轢

THX: The Hague Int’l. Photo: Maurice Haak courtesy of TodaysArt

オロフ・ファン・ウィンデン(Olof van Winden)は、一部の人々から反感を買うことを意に介さない。実際、彼が2014年に日本でのパイロット版を日本のチームと開催し、2015年9月に本開催を予定しているフェスティバル『TodaysArt.JP TOKYO 2015』のポイントは、都市の軋轢を見出すことだ。 

ウィンデンは、アートのためにこれまでに3度逮捕されている。2005年にオランダのハーグで立ち上げ、年に1度開催している『TodaysArt』のディレクターとして、彼は人々(および政府)を不快にさせるようなテーマで物議を醸している。批判を受けるようなテーマを取り上げる理由は、彼自身が述べている通り、アーティストはその作品によって社会と向き合い、意見を述べるべきだからだ。フェスティバルディレクターであるウィンデンは、我々との会話の中で、ケニアに生まれ西アフリカに移って少年時代を過ごしたのち、オランダに渡ったことを語ったが、彼の折衷的なスタイルのルーツは、このような生い立ちと関係があるのではないかと考えざるを得ない。いずれにしても、彼のスタイルによって、『TodaysArt』は最先端のフェスティバルとなり、世界へと広まっている。現在、いくつかの都市で盛り上がりを見せるこのプロジェクトは、日本では今後、東京、神戸、川崎でイベントが計画されている。 

ー『TodaysArt』は、都市とどのように影響を与え合うのですか? 

『TodaysArt』はプラットフォームであり、このフェスティバルはそのプラットフォームにおけるある種の成果です。私たちは、視覚芸術や音楽から、ダンスなどのパフォーマンスアートに至るまで、できるだけ多くの分野を常に結びつけようとしています。この種のメディアアート、つまりデジタルカルチャーについてひとつ言えることは、暗い空間が必要なために、屋内で行われる場合が多いということです。プロジェクターなどの装置が必要となるためです。私たちがやろうとしているのは、こういったメディアアートを屋外で行うことです。したがって、基本的にこのフェスティバルのコンセプトは、都市に関して言えば、美術館や劇場、クラブ、パブリックスペースなど、都市の文化的基盤を使用すること、そして、それを世界中のアートと融合する、というものです。 


TodaysArt.JP Festival 2014 from TodaysArt on Vimeo.


ー東京のパブリックスペースをアートに利用するのは簡単なことではないと思いますが、具体的にどのようなことを計画していますか? 

私はいつもアナロジーを用いるのですが、例えば美術館に展示された裸婦の絵はアートですが、屋外広告に裸婦を用いた場合、まったく異なる反応を呼ぶでしょう。つまり、こういったパブリックスペースを使用する場合には、まったく異なるリアクションとテンションを呼ぶことを理解する必要があります。昨年の東京では、長い通りに面した倉庫を使用しましたが、許可の面では非常に利用しやすい会場でした。しかし、同じことをもっと大規模にやろうとする場合、そうはいきません。ハーグでは、160個のスピーカーを使用して壁際に音響装置を設置して、通りに『ボーイング747』の音を響かせ、滑走路をつくりあげました。これは、500mにおよぶ仕掛けになりました。会場付近の住民はそれが芸術作品だと分かっていましたが、バイクで通りがかった人々は飛行機が墜落したと思ったでしょう。こういったことは、想定しておく必要があります。 

日本でパブリックスペースを大規模に利用するならば、数年の準備期間と若干の資金作りが必要となるでしょう。というのも、日本では屋外にアートのためのインフラがないからです。また、入場料が無料のため、資金も必要となります。しかし、私たちはこれまでのプロジェクトに基づき、持ちうるすべての知識を動員して、このフェスティバルのコンセプトを日本で実現しようと考えています。 

 

ーフェスティバルの政治的要素についても詳しく聞かせてください 

アートや音楽といった分野を扱う大半のフェスティバルに比べて、私たちは政治的運動をフェスティバルに組み込みたいと考えがあります。美意識や優れた最新のテクノロジーの点だけでなく、それぞれのフェスティバルは、それが行われる都市や国との関係性の上に作られます。したがって、フェスティバルを世界のほかの国々へと拡大する時、コピー&ペーストモデルにはならないのです。しかし、私たちの政治的プログラムの提示方法は積極的なものではありません。それはキャンペーンやテキスト、カンファレンスといったものに隠されています。しかし、それが変な方向に進むこともあります。例えば、2009年に、「友か敵か?(Friend or Foe?)」というコンセプトの下でフェスティバルのキャンペーンを行った後で、私が逮捕されたてしまった時のように。このキャンペーンは、思いがけずハーグ市役所や政府の人々の反感を買うことになってしまいました。 

しかし、本質的に私たちは都市の軋轢を見出そうとしています。それがアートの本質だからです。アーティストは社会に向き合い、身の回りの状況を見回し、自身の考えを提示します。現代のテクノロジーは私たちに、この有機的組織体に何をもたらすのか……。アートはこういった事柄について意見を提示する非常に良い方法なのです。そして、それはさほど積極的なものではなく、ただ自分の目を見開くということなのです。フェスティバルにおいて、パブリックスペースでプログラムを行う際にも、同じことが言えます。パブリックスペースは、多くの場合、理論通りに機能するよう設計されています。しかし、たとえば公園の場合、決まった道を歩くことが求められますが、いつでも人々は通り抜けをするため、公園の中央に別の道ができあがるのです。私たちが探しているのは、パブリックスペースのどこに軋轢があるのか、どのスペースを足せるのか、あるいは無視できるか、ということです。先ほど話したように、それは、どの国においても共通して言えることではありません。それは常に、問題となっている都市や国において何が求められているのかを見つけようとすることなのです。

 

ーそれでは、日本において軋轢が生じているのはどんな場所でしょうか? 

日本の場合、風営法によるダンス規制について知ったときは驚きました。私たちにとって、特にオランダでは、クラブカルチャーは広く浸透しています。オランダ国王がDJと一緒にブースにいる場面を写真で撮られているほどです。しかし、それは朝の5時まで踊り明かす人々に限らず、ダンスカルチャーのシーンからはたくさんのビジュアルアートが生まれていることが広く理解されているのです。 

日本においては、ユースカルチャーを発信する必要があると思います。日本の皆さんもそれを強く感じていると思いますが。それはファッションにも見てとることができます。ファッションには、異なる方法で表現するというニーズが表れています。そして、これが我々の進むべき方向だと思うのです。昨年、冗談で言ったことですが、飛行船を借りて、日本のすべてのDJを招待して東京の空を飛行しながらパーティをしたらどうか、と話していたんです。我々はフロアにいないわけですからね。実際、着陸したあとに問題が生じるかもしれませんが、それは解決すればいいだけのことです。これは1つのアプローチになるでしょう。つまり、我々も理解していないような何かが生まれていること、そしてそれを何とかして捉え、探求したいということなのです。

ー様々な国々において、どのように現地のアーティストを選ぶのですか? 

私たちは、様々な都市においてグローバルなアートネットワークを築いているため、世界中のアーティストに関する巨大なデータベースを持っています。アートに理解がない人であれば、フェスティバルを計画する場合、新人アーティストではなく、ヘッドライナーを起用するでしょう。私たちがネットワークを広げたいと思うのは、そういった新人アーティストを見出し、育てるためです。私たちは共同制作者である、というのが、このフェスティバルのアプローチなので、単に既存のアートを取り上げるということはしません。私たちはアーティストと緊密に連携して、コンテクストに沿った新たな作品を生み出しています。そして、こういった新たな作品はすべて、のちに広まっていくことが期待できます。それは、強力なアートコラボレーションであり、アーティストそのものに寄り添ったアプローチなのです。

ー今年の日本でのフェスティバルについて、昨年と異なる点は? 

昨年のフェスティバルは試験的なものであり、非常に小規模でした。一夜限りのコンサートでしたが、すべての要素が揃っていました。カンファレンス、エキシビション、パブリックスペースでの作品公開と、あらゆる要素をミクロレベルで実現したわけです。今回は、東京、神戸、さらには川崎と、様々な都市でイベントを開催する予定です。つまり、拡大しているわけです。実は、『TodaysArt』はオランダよりも日本で大きく拡大することを期待しています。昨年のフェスティバルで非常に特別だったことは、実験的な試みとして入場料を取らずに開催したことです。日本の大半のフェスティバルは非常にチケット代が高いそうですが、これはオーディエンス、特に来場してほしい層のオーディエンスを遠ざける原因になっていると思います。フェスティバルに来てほしいのは、どんな場所にも行くことのできる金持ちではなく、あまり余裕のない若者やアンダーグラウンドのオーディエンスのはずです。そんな私たちの求めるオーディエンスたちのために、誰もが気軽に参加頂ける料金設定をしていきます。 

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