植田実写真展 ―都市のインク

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タイムアウトレビュー

建築評論、編集者として長年活躍し続ける植田実の写真作品を紹介する展覧会。本展では、「端島複合体」「同潤会アパートメント」の写真と、1961年に8mmフィルムで撮影した『丸の内』の映像を観ることができる。今では廃墟の代名詞としても使われる軍艦島こと端島は、三菱鉱業の所有する石炭採掘の基地として明治年間以来、人々が生活を営む場所であった。1974年の閉山直後に撮られた植田の写真は、アカデミックな都市計画の範疇には収まりきらない、特異な建築複合体の生々しい姿を伝えている。
一方の同潤会アパートは、1923年の関東大震災の復興のために建てられた、近代日本で最初期の鉄筋コンクリート造集合住宅だ。復興のための一時的な住居としてではなく、当時としては最先端の近代設備が備えられるなど、長く住まわれることが意識され建てられた。2013年に解体された上野下アパートメントを最後に、表参道ヒルズ東端に外観が再現されているのを除いては、その姿を直接目にすることができなくなった。本展覧会では、1972年から植田が撮り続けた写真群から、増改築の様相や外壁の剥落、金属部分の腐蝕など年月の重なりを感じさせつつも人々の生活が息づいた同潤会アパートの当時の姿ををうかがい知ることができる。

詳細

住所
問い合わせ
03 3470 2631
営業時間
Jan 9-24 12時00分〜19時00分
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