梅沢和木は、インターネット上に拡散したあらゆる画像やデータを素材としてブリコラージュ的作品を制作する若手作家だ。輝度の高い白の背景の上には、膨大な数のキャラクター/モチーフが埋め込まれ、統一されたRGBの色彩のなかではもはや、その原型を辿ることは困難。しかし、そこに埋め込まれたデータの破片、欠片は平均化され、彼の手によって再構成されることで新たな展開を見せる。
CASHIでは二度目となる今回の梅沢和木個展では、新作「魔法陣シリーズ」を発表。今回の「魔法陣シリーズ」では、作品を構成する欠片はより小さくなり、デコラティブで濃厚且つ密度の高い画面を構成している。また、キャラクター/モチーフが白い空に突如現れたかのような構図は、東京電力の賠償問題で話題と成った聞き慣れぬ法律用語「無主物」より着想を得ており、ネットと現実、匿名と実名、デジタルとアナログといったテーマに改めて挑んでいる。