画家・松井冬子(まつい・ふゆこ)の、公立美術館における初の大規模個展が開催される。
松井冬子(1974年静岡県森町出身)は、油彩画を学んだのち、日本の古典絵画の技法に、表現上の魅力と可能性を見いだし、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻に入学。同大の学部卒業制作『世界中の子と友達になれる』は、芸術表現が呼び起こす精神的肉体的な“痛み”を始点として、恐怖、狂気、ナルシシズム、性、生と死などをテーマに挑発的とも言える作品を制作してきた松井冬子の原点と言える作品だ。
本展では、代表的な本画の作品、試行錯誤の軌跡を伝える下絵、厳密に描き込んだデッサンなどに、本展のための新作を加えた約100点を展示。出発点『世界中の子と友達になれる』から、松井冬子がどのように自らの表現を突き詰めて来たかを検証する。
また会期中、松井冬子が初めてアートディレクションを手がける映像作品も公開される予定だ(2012年3月)。