新宿中村屋本店を建て替え、新しく生まれた商業ビル「新宿中村屋ビル」に開設された美術館。創業者、相馬夫妻が芸術に深い造詣を有していたことから、中村屋には多くの芸術家、文人、演劇人が出入りするようになる。
ヨーロッパのサロン文化にならって「中村屋サロン」と呼ばれた交流の場には、中心人物だった彫刻家、荻原守衛(碌山)や画家の中村彝をはじめ、書家で美術史家の會津八一、女優の松井須磨子、劇作家の秋田雨雀、インド独立運動の志士ラス・ビハリ・ボースなど多彩な人々が集まった。同館は、日本の近代文化史に大きな影響を及ぼした中村屋サロンの空気を今に伝える美術館となっている。